先進のスケジューリングロジック

 サクラスケジューラには、先進のメタ戦略であるラグランジュ緩和(分解・調整)法に基づく4種類のスケジューリングロジックと、遺伝的アルゴリズムに基づく4種類のスケジューリングロジックが搭載されています。すべてのスケジューリングロジックでフォワードおよびバックワードのスケジューリングが可能です。

ラグランジュ緩和(分解・調整)法
  • 実行可能化に貪欲法を使う(LR_G_Scheduler)
  • 実行可能化に探索法を使う(LR_S_Scheduler)
  • 双対問題を解く過程では実行可能化に探索法を使い、双対問題が解けた段階で貪欲法を使って実行可能化する(LR_H_Scheduler)
  • 実行可能化に Giffler & Thompson 法を使う(LR_T_Scheduler)
    ※ バッチ工程が扱えます。
遺伝的アルゴリズム ~多目的最適化ロジック~
  • デコードに貪欲法を使う(GA_G_Scheduler)
  • デコードに探索法を使う(GA_S_Scheduler)
  • 反復改善過程ではデコードに探索法を使い、最後に貪欲法を使ってデコードし直す(GA_H_Scheduler)
  • デコードに Giffler & Thompson 法を使う(GA_T_Scheduler)
    ※ バッチ工程が扱えます。

 各スケジューリングロジックには、向き不向きがあります。例えば、LG_G_Scheduler(既定)は機械や人員の稼働率を向上させますが、ジョブ数が多くなると計算時間が遅くなります。また、LR_S_Scheduler は、最適度は LR_G_Scheduler より劣りますが、計算時間の作業数依存性が線形です。どのスケジューリングロジックが御社に向いているのかわからない場合は、お気軽にお尋ねください。ご教示いただいた御社の生産環境の情報をもとに、最も御社に適したスケジューリングロジックをアドバス致します。

マルチコア CPU に対応した並列化ロジック

 ラグランジュ緩和(分解・調整)法と遺伝的アルゴリズムの各種スケジューリングロジックは、マルチコア CPU に対応した並列処理を行うスケジューリングロジックです。コア数が多いほど、そして論理プロセッサ数が多いほど計算時間が短くなります。

 下表は、論理プロセッサ数の異なる PC でのラグランジュ緩和(分解・調整)法(LR_G_Scheduler)と遺伝的アルゴリズム(GA_G_Scheduler)の計算時間を一覧した表です。ここで、ジョブ数は 200(作業数は 2,000程度)、品目数は 1,000、機械数は 50、人員数は 20、治具数は 50 で、機械の 30% が段取りを必要とする設定で計算しています。

CPU論理プロセッサ数ラグランジュ緩和(分解・調整)法遺伝的アルゴリズム
Core i5-6200U41.69(分)5.81(分)
Core i7-4700QM81.38(分)3.43(分)

 ※ Core i5-6200U の PassMark によるマルチコア性能値は 3,262、そして Core i7-4700QM のマルチコア性能値は 7,775 です。

計算時間の作業数依存性

 下図は、サクラスケジューラのラグランジュ緩和(分解・調整)法(LR_G_Scheduler)と遺伝的アルゴリズム(GA_G_Scheduler)の作業数依存性を表しています。ここで、品目数は 1,000、機械数は 100、人員数は 50、治具数は 50 で、機械の 30% が段取りを必要とする設定で計算しています。また、考慮した時刻の数は 30万(約 7ヶ月)です。CPU が Intel(R) Core i7-4700QM、メモリ 16GB の家庭用ノートパソコンで計算しています(以下同様です)。

計算時間の作業数依存性

 下図は、ラグランジュ緩和(分解・調整)法の目的関数値、平均リードタイム、総段取時間を 1 とした場合の遺伝的アルゴリズムの相対値を表しています。

ラグランジュ緩和法(分解・調整)法を 1 とした場合の遺伝的アルゴリズムの相対値

 下図は、ラグランジュ緩和(分解・調整)法と遺伝的アルゴリズムの最適化による目的関数値の改善率の作業数依存性を表しています。

改善率の作業数依存性

計算時間の機械数依存性

 下図は、サクラスケジューラのラグランジュ緩和(分解・調整)法(LR_G_Scheduler)と遺伝的アルゴリズム(GA_G_Scheduler)の機械数依存性を表しています。ここで、ジョブ数は 200(作業数は 2,500程度)、品目数は 1,000、人員数は 50、治具数は 50 で、機械の 30% が段取りを必要とする設定で計算しています。また、考慮した時刻の数は 30万(約 7ヶ月)です。

計算時間の機械数依存性

 下図は、ラグランジュ緩和(分解・調整)法の目的関数値、平均リードタイム、総段取時間を 1 とした場合の遺伝的アルゴリズムの相対値を表しています。

ラグランジュ緩和法(分解・調整)法を 1 とした場合の遺伝的アルゴリズムの相対値

 下図は、ラグランジュ緩和(分解・調整)法と遺伝的アルゴリズムの最適化による目的関数値の改善率の機械数依存性を表しています。

改善率の機械数依存性

計算時間の加工時間依存性

 下図は、サクラスケジューラのラグランジュ緩和(分解・調整)法(LR_G_Scheduler)と遺伝的アルゴリズム(GA_G_Scheduler)の加工時間依存性を表しています。ここで、ジョブ数は 200(作業数は 2,500程度)、品目数は 1,000、機械数は 100、人員数は 50、治具数は 50 で、機械の 30% が段取りを必要とする設定で計算しています。また、考慮した時刻の数は 30万(約 7ヶ月)です。

計算時間の加工時間依存性

 下図は、ラグランジュ緩和(分解・調整)法の目的関数値、平均リードタイム、総段取時間を 1 とした場合の遺伝的アルゴリズムの相対値を表しています。

ラグランジュ緩和法(分解・調整)法を 1 とした場合の遺伝的アルゴリズムの相対値

 下図は、ラグランジュ緩和(分解・調整)法と遺伝的アルゴリズムの最適化による目的関数値の改善率の加工時間依存性を表しています。

改善率の加工時間依存性

平均リードタイムのジョブ数依存性

 下図は、サクラスケジューラのラグランジュ緩和(分解・調整)法(LR_G_Scheduler)の稼働率重視ロジック、短納期重視ロジック、納期厳守ロジックの作業数依存性を表しています。ここで、品目数は 100、機械数は 50、人員数は 20、治具数は 50 で、1ジョブの平均作業数が 6 作業の設定で計算しています。

計算時間の加工時間依存性

 上図から分かるように、稼働率重視ロジックの平均リードタイムがジョブ数が多くなるに従って長くなっています。これは、「リードタイムの跳ね上がり」と呼ばれる現象です。稼働率重視ロジックでは、各マシンの稼働率が非常に高くなっています。稼働率が高くなると、各ジョブのリードタイムが長くなる現象を表しています。

標準データでの各種処理時間

 下表は、品目数 3万、工順数 3万、ワークセンタ数 15万、マシン数 300、ジョブ数 7千で作業(工程)数 3万の場合の各種処理時間の一覧です。ここで、CPU が Intel(R) Core i7-4700QM、メモリ 16GB の家庭用ノートパソコンで計測しています。考慮した時刻の数は 60万(約 13ヶ月)です。

マスタ取込0.63分
ジョブ取込1.56分
スケジューリング
[ LR_S_Scheduler]
※カスタマイズ版
0.52分
起動0.58分