はじめに
このホームページでは、最適化生産スケジューリング手法について詳細に紹介するとともに、従来の生産スケジューリング手法から最適化生産スケジューリング手法への転換を提案しています。しかしながら、「最適化生産スケジューリング手法の理論や机上実験データについては分かったが、実際の生産現場で効果があるのか」と疑問に思う方も多いかもしれません。そこでこのページでは、実在する工場の実データを使って最適化生産スケジューリングを行った結果を紹介します。
納期順守率の改善
以下の数値は、実在する工作機械製造工場の生産ラインのマスタとジョブデータを用いて従来の生産スケジューリングと最適化生産スケジューリングを行った結果の納期順守数の比較です。ここで、フレキシビリティ効果の影響を排除するため、ジョブ取込を「負荷均等」で行っています(以下同様です)。
従来の生産スケジューリング | 56 |
最適化生産スケジューリング | 70 |
「従来の生産スケジューリング」が最適化生産スケジューリングを行う前の通常の生産スケジューリング(サクラスケジューラのデコーダ)を行った結果の納期順守数を表し、「最適化生産スケジューリング」が最適化生産スケジューリングを行った後の納期順守数を表しています。品目数は 40、マシン数は 29台、ジョブ数は 101(作業数 552)で、遺伝的アルゴリズム(GA_S_Scheduler)を適用しています。考慮した時刻の数は 30万で、計画期間は 1.5ヶ月です。
最適化生産スケジューリングによって、数にして 14ジョブ、率にして 25%も納期順守数が改善しています。目的関数値は、54,366,220 から 30,742,670 と 43%改善しました。処理する順番や機械、処理する時刻を最適化することによって、これだけ納期順守数が改善します。これが、納期順守率を向上させる最適化生産スケジューリングの威力です。
生産リードタイムの短縮
以下の数値は、実在する金型製造工場の生産ラインのマスタとジョブデータを用いて従来の生産スケジューリングと最適化生産スケジューリングを行った結果の平均生産リードタイム(分)の比較です。
従来の生産スケジューリング | 1,346(分) |
最適化生産スケジューリング | 965(分) |
「従来の生産スケジューリング」が最適化生産スケジューリングを行う前の通常の生産スケジューリング(サクラスケジューラのデコーダ)を行った結果の平均生産リードタイム(分)を表し、「最適化生産スケジューリング」が最適化生産スケジューリングを行った後の平均生産リードタイム(分)を表しています。品目数は 580、マシン数は 21台、ジョブ数は 135(作業数 1,590)で、ラグランジュ緩和法(LR_T_Scheduler)を適用しています。考慮した時刻の数は 30万で、計画期間は 1週間です。
最適化生産スケジューリングによって、時間にして 381(分)、率にして 28%平均生産リードタイム(分)が短縮されます。目的関数値は、1,548,057 から 1,140,610 と 26%改善しました。これが、生産リードタイムを短縮する最適化生産スケジューリングの威力です。
段取り時間の短縮
以下の数値は、実在する段ボール製造工場の生産ラインのマスタとジョブデータを用いて従来の生産スケジューリングと最適化生産スケジューリングを行った結果の総段取り時間の比較です。
従来の生産スケジューリング | 37,080(分) |
最適化生産スケジューリング | 16,860(分) |
「従来の生産スケジューリング」が最適化生産スケジューリングを行う前の通常の生産スケジューリング(サクラスケジューラのデコーダ)を行った結果の総段取り時間(分)を表し、「最適化生産スケジューリング」が最適化生産スケジューリングを行った後の総段取り時間(分)を表しています。品目数は 367、マシン数は 14 台、ジョブ数は 990 で、ラグランジュ緩和法(LR_T_Scheduler)を適用しています。考慮した時刻の数は 16万で、計画期間は 1ヶ月です。
最適化生産スケジューリングによって、時間にして 20,220(分)、率にして 55%も総段取り時間が短縮されます。目的関数値は、5,784,513 から 2,415,309 と 58%改善しました。これが、段取り時間をも短縮する最適化生産スケジューリングの威力です。