はじめに

 生産スケジューリングと聞くと、学者が研究しているような小難しい理論や、何百万円もする市販の高価な生産スケジューラを思い浮かべる方が多いかと思います。でも、このホームページでは、そんな生産スケジューリングを、しかも最適化生産スケジューリングを身近に体験・体感できるソフトウェアを公開しています。このページでは、公開しているそのソフトウェアの画像を使って、そもそも生産スケジューリングとはなんなのかを易しく解説します。

ジョブとは

 生産スケジューリングの解説を始める前に、ジョブという用語について説明します。

ジョブとは、1個または複数の製品(品目)を作るためにやらなければならない一連の作業(工程)のことです。

 例えば、チロルチョコを作る場合を想像してください。チロルチョコは1個ずつ作るわけではありません。大きな型枠があり、10個、50個と一度に作ります。このような、一度に作る複数の製品(品目)の集まりのことをロットと呼びます。そして、チロルチョコは、チョコレートを混ぜたり、中にイチゴクリームを入れたり、固めたり、はたまた包装したりと、複数の作業(工程)を経て製品となります。ここで、各作業(工程)は人が処理することもあれば、機械で自動的に処理することもあるでしょう。以下では、各作業(工程)を処理する人および機械を、まとめて機械と呼びます。

生産スケジューリングとは

いよいよ生産スケジューリングの説明です。

生産スケジューリングとは、種類の異なる沢山のジョブを複数の機械で一連の作業(工程)を経て処理し、製品(品目)を製造する際、それらの作業(工程)をどの機械で何時処理するのかを決定する問題です。

 チロルチョコにも色々な種類があります。イチゴ味、バナナ味、マンゴー味、・・・。上の要約での「種類の異なる」とは、このことを指します。

ここで、各機械が一度に処理できる作業は1つであるという制約に注意してください。以下の図は、スケジューリングせずに、営業に言われるがままに製品(品目)を作ろうとしたとき、何が起こるかを示しています。(画像をクリックすると別ページに拡大表示できます。)

山積負荷

 ピンクの部分が、各ジョブの各作業が機械-0001 を占有する時刻と時間の山積(山積負荷)を表しています。そして、赤い点線が機械-0001 の台数(=1台)を表しています。ご覧のように、3月12日の夕方あたりで機械の奪い合いが発生し、実行不可能となっています。この機械の奪い合いを解消するのが生産スケジューリングです。

解消しなければならない制約は機械制約だけではありません。例えば、技術的順序制約や治具制約などがあります。ここで、技術的順序とは、ジョブの一連の作業(工程)の前後関係のことです。チロルチョコの場合、チョコレートを固める作業(工程)が終わるまで包装の作業(工程)ができない、といった具合です。また治具とは、例えば、チョコレートを流し込む型枠を指します。

 下の図は、スケジューリングした結果のガントチャートです。ここで、ガントチャートとは、時刻を横軸にして、各機械が何時から何時までどのジョブを処理しなければいけないかをグラフ化した図です。(画像をクリックすると別ページに拡大表示できます。)

マシンガントチャート

 機械-0001 の3月12日の夕方あたりの機械の奪い合いが解消されて、機械は各時刻で1つのジョブを処理すればよいだけになっています。このように、課せられた制約を守るよう各ジョブの開始時刻と処理する機械を調節するのが生産スケジューリングです。